交通事故の自由診療費について
自由診療費とは?
整形外科や接骨院では、交通事故の患者さん(被害者)の治療費や施術費を「自由診療費」として相手方(加害者)の保険会社に請求しています。
自由診療を簡単に説明すると「自費治療」です。
自費治療は、保険外の治療や施術のことで、症状に対して効果的だが保険が使えない処置や治療、施術のことです。
交通事故の患者さんは、ケガを事故前の状態に回復させるために必要な治療や施術はなんでも受けられるように自由診療になっています。
今回は、病院や接骨院での自由診療費の内訳や請求する保険について解説していこうと思います。
◉自動車賠償保険は2種類ある
□自賠責保険
自賠責保険は、車や原付バイクを購入した際に加入が義務づけられている保険です。
特徴としては、補償額に上限が定められていることです。
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- 傷害(人損)による損害の場合は、120万円
- 後遺症による損害の場合は、4000万円
- 死亡の場合は、3000万円
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□対人賠償保険(いわゆる任意保険)
自賠責保険での補償額の上限を超えた場合に補填する保険です。
保険会社の種類や契約している内容により上限が異なります。
交通事故でのケガは、
自賠責保険の①傷害(人損)になるので、
整形外科や接骨院での「自由診療費」の上限は120万円になります。(※「自由診療費」と「慰謝料」の合計が120万円)
上限を超えたものは、加害者の任意保険から支払われる仕組みになっています。
従前、交通事故の被害者は、120万円までの損害金については、
自賠責保険へ請求し120万円を超える部分については、加害者の任意保険に請求する仕組みになっていました。
しかし、別々に請求する手続きは複雑で被害者の負担が増えていました。
そのため、加害者の任意保険会社が
交通事故で発生した損害金を被害者へ支払い
その後、任意保険会社が自賠責保険へ請求するという
「一括対応」が一般的になっています。
※この仕組みは、任意保険会社のサービスです。
余談になりますが、
任意保険会社は、自由診療費と慰謝料の合計が120万円以内に収まるように早く施術を打ち切るように提案してくる場合があります。
しかし自賠責保険では、ケガを事故前の状態まで回復させる目的なので、症状が残っているなら通院できます。
任意保険会社の言いなりにならないように注意してくださいね。
◉病院と接骨院の自由診療費
・整形外科などの病院の自由診療費
病院を受診した際に渡される医療費の明細書や領収書を見たことはありますでしょうか?
そこには点数が記載されていると思います。
病院の医療費(健康保険)は点数制で、1点につき10円になっています。
つまり、点数が300点だとすると医療費の合計は3000円になります。
交通事故の場合は、病院によって異なりますが、
自由診療費として1点20〜30円に設定できます。
つまり点数が300点の場合、6000〜9000円になります。
※多くの病院で自賠責保険は20円で設定していることが多いです。
・接骨院の自由診療費
病院での医療費は点数制でしたが、
接骨院では部位制です。
つまり、施術した部位数によって料金が変わります。(※基本的に3部位から料金の低減が入ります)
接骨院での自賠責保険は、
労災保険の料金を基準に算定されおり、約2倍の料金になる等に設定されています。
また、健康保険と自賠責保険の料金を比べると3〜4倍になっています。
2部位(頚部・腰部の捻挫)で2回施術を受けた場合の労災、自賠、健康保険の施術費を出してみました。
図
・労災保険の合計金額は、8835円
・自賠責保険の合計金額は、18660円
・健康保険の合計金額は、5020円
◉まとめ
自賠責保険は、自由診療費となっていますが、
自由に料金を設定できる訳ではなく、ある程度決められたなかで設定するようになっています。
病院では、
健康保険が1点10円なところを
自賠責保険では1点20 ~30円のなかで
自由に設定しており、
接骨院では、
労災保険の約2倍の料金で設定されています。
(※健康保険と比べると3~4倍の料金)
リンク:https://hashimoto-seikotsu.com/?cases=1202